
「老舗のIT企業って、安定はしてそうだけど株価は期待できないんじゃ…?」
そんな風に思っていませんか?
実は、安定した経営基盤を持ちながら、DXの波に乗って力強く成長を続ける企業があるんです。それが、今回ご紹介するランドコンピュータ(3924)です。
この記事では、独立系SIerとして50年以上の歴史を誇るランドコンピュータについて、企業の公式資料を基に、事業内容から業績、そして今後の成長性まで、分かりやすく解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
企業概要とビジネスモデル
基本情報
銘柄名 | 株式会社ランドコンピュータ |
証券コード | 3924 |
業種 | 情報・通信業 |
上場市場 | 東証プライム |
ビジネスモデル・収益構造
ランドコンピュータは、1971年設立の独立系システムインテグレータ(SIer)です。特定のメーカーや製品に縛られず、顧客の課題解決に最適なシステムをトータルで提供できるのが強みです。
創業3期目以降、50年以上の黒字を実現している安定経営な企業です。
主な事業内容(構成比:2025年3月期の売上高で計算)
- システムインテグレーション(売上高構成比53.7%): 顧客の課題解決のために、システムの企画・設計から開発、運用・保守までをトータルで提供する、同社の中核事業です。特に金融(銀行、クレジットカード)、産業・流通、公共、医療といった幅広い分野で豊富な実績を持っています。
- パッケージベースSI&サービス(売上高構成比36.5%): SalesforceやSAPといった他社製のソフトウェアパッケージ製品を、顧客に合わせて導入支援やカスタマイズ、機能追加(アドオン開発)などを行います。クラウドサービスの普及とともに、近年大きく成長している分野です
- インフラソリューション(売上高構成比9.8%): シ企業のITシステムの土台となるサーバーやネットワークの構築、運用・保守を行います。
上記のサービス提供の対価として、主にプロジェクト単位で売上を計上する「請負契約」や、エンジニアの技術力を時間単位で提供する「準委任契約」によって収益を得ています。
主な顧客層
金融、産業・流通、公共、医療など、幅広い業種の企業を顧客としています。特定の業界に依存しない、バランスの取れた顧客基盤が特徴です。
属する市場の特徴、トレンドなど
市場規模
ランドコンピュータが属するSIer業界の国内市場規模は、調査会社によって多少の差はありますが、およそ10兆円を超える巨大市場です。
市場成長率
近年、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化への投資が加速しており、SIer業界は安定した成長を続けています。
Sler含むICT産業の市場規模は、世界的なトレンドを見ても増加傾向にあります。2017年には3.50兆ドルだったものが、2025年には5.44兆ドルと約1.5倍(出典:総務省「情報通信白書」)になっています。
市場の特徴
- 多重下請け構造: 大手SIerを頂点としたピラミッド型の構造が特徴です。
- 人材不足: IT人材の不足が深刻化しており、優秀なエンジニアの確保が企業の競争力を左右します。
- 技術革新の速さ: クラウド、AI、IoTなど、次々と新しい技術が登場するため、企業は常に技術力をアップデートしていく必要があります。
主な競合
- 富士ソフト(9749)
- TIS(3626)
- SCSK(9719)
- 伊藤忠テクノソリューションズ(4739)
企業のポジション
ランドコンピュータは、独立系SIerとして、特定のメーカーに縛られない中立的な立場で顧客に最適なソリューションを提供できる点が強みです。また、50年以上の業歴で培った顧客基盤と信頼も大きな武器と言えますね。

独立系て、なんかカッコええやん!でも大手とやり合うんは大変やろな〜。腕の見せ所やで、ほんま!
業績と株価の分析
業績推移と今後
過去5年実績と会社予想
決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 当期純利益(百万円) EPS(円)
2021年3月期 8,877 620 430 24.0
2022年3月期 9,596 872 627 34.9
2023年3月期 11,578 1,222 772 43.0
2024年3月期 13,732 1,729 1,233 68.7
2025年3月期 13,730 1,433 1,023 57.0
2026年3月期(予想) 14,500 1,860 1,250 69.6
過去5年の成長率 10.31% 24.57% 23.79% 23.73%
2025年3月期は、不採算案件が生じたことで減益となりましたが、傾向としては順調に成長しています。
最新の会社予想値も前期比で増加しており、過去5年間での成長率は20%を超えています。
直近決算のポイント(2026年3月期 第1四半期)2025.8.13更新
本日発表された2026年3月期 第1四半期の決算は、減収ながらも大幅な増益となり、市場にポジティブなサプライズを与えました。
- 売上高: 28億5,800万円(前年同期比7.7%減)
- 営業利益: 1億7,900万円(前年同期比64.8%増)
売上高の減少は、システムインテグレーション事業における金融(クレジットカード)向けや産業・流通向けの大型案件が縮小・収束したこと、またパッケージベースSI事業でもSalesforceやSAP関連の大型案件が縮小したことが主な要因です。
一方で、利益面が劇的に改善した背景には、前期の収益を圧迫していた大規模不採算プロジェクトが2025年3月末をもって完全に終了したことが挙げられます。この重荷がなくなったことで、利益率が大幅に向上しました。
PER推移と現状
PERの過去推移
ランドコンピュータの平均PERは17前後です。大体10~24くらいのレンジ。現在は11.2倍と、過去に比べても低い水準ですね。
順調に業績が伸びていたところに、不採算案件発生による減益となったことから、現在のPERは特に低めとなっているように感じます。
業界平均との比較
情報・通信業(プライム市場)の平均PERは20倍前後です。大体13~28倍くらいのレンジ。
ランドコンピュータの予想PER(2025年7月30日時点)は11.2倍なので、業界平均と比べて割安な水準にあると言えます。
今後のPER水準の予想
業績がいまだに成長軌道にあることや、プライム市場への「上場維持基準への適合に向けた計画」が発表され、不適合項目の時価総額を増加させるための配当政策(配当性向40%⇒50%)や積極的なIR活動により、今後のPERは下がりにくいと考えます。
※2025.8.13追記
株主優待が新設されました!毎年3月末時点で1単元(100株)以上を保有する株主を対象に、一律でQUOカード2000円分を贈呈する内容です。
配当政策だけでなく、優待によるPERの上昇を図っているようですね。ありがたや。
「株価=EPS×PER」
株価(円) 株価増減率 EPS(円) EPS増減率 PER PER増減率
2021.7.30 376 - 34.9 - 10.8 -
2025.7.30 778 106.9% 69.6 99.4% 11.2 3.8%
※2021年のPERは、株価/2022.3期の実績EPSより算出
これまでの株価の増減(2021年⇒2025年)
- EPSは+190.0%
- PERは-28.7%
- 株価は+106.9%
今後の注目ポイント(EPS、PERの観点から)
- EPSの再成長: 2025年3月期は不採算案件の影響でEPSが落ち込みましたが、会社予想では2026年3月期に再び成長軌道に戻る見込みです。この予想を達成できるかが、まず最初の注目ポイントです。
- PERの評価向上: 不採算案件の収束により、今後は安定した収益成長が期待されます。それに加え、DXビジネスの推進によって「成長性」が市場に評価されれば、PERが現在の水準から切り上がっていく可能性があります。
投資ストーリー
ランドコンピュータへの投資を考える上でのストーリーは、「安定的な既存事業を基盤に、DXという成長エンジンで企業価値を高めていく」というものです。
KPIとしては、中期経営計画でも重視されている「パッケージベースSI・サービス」の売上高成長率に注目です。この分野の成長が、会社全体の成長を牽引していくと考えられます。また、生成AIやクラウド関連の具体的な案件受注のニュースなども、株価を刺激する材料となるでしょう。
不採算案件という重しが取れた今、改めてその実力と成長性が問われるステージに入ったと言えそうです。

不採算案件も終わったことやし、ここからが腕の見せどころやな!しっかり稼いでや~!
当ブログに掲載している内容は、筆者の個人的な見解や経験に基づくものです。投資に関する最終的なご判断は、ご自身で十分にご検討のうえ、自己責任で行ってください。当ブログの内容によって生じた損失等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。