
上下水道の会社って、地味なイメージ…。公共事業がメインって、これから成長するの?
私たちの生活に欠かせない「水」に関連する、堅実だけど少しお堅い企業というイメージをお持ちではないでしょうか?
前澤工業(6489)は、その安定した事業基盤を活かしながら、「脱炭素」という未来のトレンドにも挑戦している面白い企業なんです。
この記事では、そんな前澤工業がどんなビジネスで利益を上げているのか、そして今後の成長のためにどんな戦略を描いているのかを、なるべく分かりやすく解説していきます。
この記事を読めば、あなたも「前澤工業、やるやないか!」と思えるようになるはず。一緒にじっくり見ていきましょう!
企業概要とビジネスモデル
基本情報
銘柄名 | 前澤工業株式会社 |
証券コード | 6489 |
業種 | 機械 |
上場市場 | 東証スタンダード |
主な沿革
- 1937年: 上水道用機械器具の販売を目的として創業。
- 1947年: 株式会社に改組し、製造販売を開始。
- 1961年: 下水道事業へ本格的に進出。
- 1967年: 主力工場となる埼玉製造所を新設。
- 1994年: 東京証券取引所市場第二部に上場。
- 1996年: 東京証券取引所市場第一部に指定替え。
- 2002年: 産業廃棄物処理・リサイクル分野に進出し、環境事業を拡大。
- 2012年: ベトナムに子会社を設立し、初の海外生産拠点を確保。
前澤工業の80年以上にわたる歴史は、まさに日本の水インフラの発展と共に歩んできた歴史そのものです。
創業から一貫して培ってきた「水」の技術を核に、現在は脱炭素や海外展開といった新たな領域へ挑戦を続けています。
ビジネスモデル・収益構造
主な事業内容
前澤工業の事業は大きく3つの柱で構成されています。
- 環境事業:
浄水場や下水処理場の心臓部となる水処理設備の設計から建設までを手掛けます。最近では、家畜のフンや生ゴミからエネルギーを生み出す「バイオガスプラント」など、環境に優しい事業も伸ばしています。 - バルブ事業:
道路の下にある水道管の水の流れを止めたり調整したりする「弁(バルブ)」や、水門(ゲート)などを作っています。 - メンテナンス事業:
一度納めた設備や機器が長く安全に使えるように、点検や修理、更新工事を行います。一度きりの「売り切り」ではなく、継続的に収益が見込める「ストック型」のビジネスとして、近年どんどん重要性が増しています。
主な顧客層
売上の多くは、国や全国の市区町村といった官公庁からがメインです。個人で上下水道を整備することはあまりないでしょうね。
国の公共事業がメインなので、そのときどきの政策によって左右されやすいですが、最近ではインフラ老朽化対策が推し進められている状況です。
属する市場の規模・成長性
市場のトレンド
国土交通省の「建設総合統計」によると、2023年度の建設投資額のうち、国や地方公共団体による投資は約26兆円でした。
この中で、下水道や公園、廃棄物処理施設などを含む「衛生」関連の公共事業費は重要な位置を占めており、安定した市場規模があります。
人口減少で新しい施設は減る一方、高度経済成長期に作られたインフラの老朽化対策(更新需要)が待ったなしの状況で、今後も底堅い需要が見込まれます。
市場の特徴
- 参入障壁: 公共事業は過去の実績と信頼が命。長年の実績を持つ前澤工業のような企業は有利で、新規参入はかなり難しい市場です。
- 景況感: 生活に必須のインフラなので、一般的な製造業などと比べて景気の影響を受けにくいディフェンシブな特徴があります。

目立たんところで大活躍な企業やんけ!普段は気にならん当たり前の水が飲めるのも、こういう企業が頑張ってくれてるからやな。
業績と株価の分析
業績推移と今後
過去5年実績と会社予想
決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 当期純利益(百万円) | EPS(円) |
---|---|---|---|---|
2021年5月期 | 31,810 | 3,228 | 2,489 | 133.12 |
2022年5月期 | 30,903 | 3,038 | 2,142 | 117.54 |
2023年5月期 | 32,369 | 3,226 | 2,630 | 145.01 |
2024年5月期 | 36,511 | 4,875 | 3,531 | 196.65 |
2025年5月期 | 37,499 | 4,654 | 3,077 | 174.43 |
2026年5月期(予) | 39,000 | 4,900 | 3,200 | 181.81 |
過去5年の成長率 | 4.2% | 8.7% | 5.2% | 6.4% |
売上高は安定的に推移しており、特に2024年5月期は大きく伸びていますね。
営業利益の増加が売上高の増加以上に伸びているのが注目ポイントの一つ。利益率が上昇しているのはとても良いこと。
直近決算のポイント(2025年5月期 通期)
売上は伸びましたが、営業利益は少し減少しました。その要因としては、
- 前期(2024年5月期)に、退職金関連の会計処理で利益を押し上げる特殊な要因があった反動。
- バルブ事業で、前期に採算の良い大型案件が集中した反動。
事業別にみてみると、環境事業とメンテナンス事業は、売上・利益ともにしっかり伸びており、好調をキープしています。
バルブ事業の大型案件が継続してくれればベストだったのですが、減益要因は一時的なものとしてスルーで良さそうですね。
PER推移と今後
PERの推移
前澤工業のPERは11.0倍(2025年9月11日)。過去の平均値は7.4倍、レンジは大体5.9倍~8.9倍くらい。
過去平均と比べると、少し高い水準です。最近は下水道関連銘柄が注目されているので、全般的に少し高め。
※平均値は、50倍程度だった期間(2016年、2017年あたり)を除いています。
業界平均との比較
プライム市場の機械の業種PERは20.6倍(2025.8月)。レンジは15.1倍から26.2倍。
建設業にも大きく関連するので、参考までに建設業のPERは14.4倍。
いずれにせよ、関連する業界の平均値よりも低いことが分かりました。
今後のPER水準の予想
- 成長テーマ性: 同社が力を入れる「バイオガスプラント」や「官民連携(ウォーターPPP)」は、脱炭素やインフラ維持といった、まさに国策ともいえるテーマです。
- 市場の評価: これらの成長分野で大きな実績を上げ、収益への貢献が明確になれば、市場からの評価が高まり、現在の株価指標が見直されるきっかけになるかもしれません。せめて業種平均値くらいまでPERが上がってくれればいいんですけどね。
「株価=EPS×PER」からみた動きと今後の注目ポイント
株価(円) | 株価増減率 | EPS(円) | EPS増減率 | PER | PER増減率 | |
---|---|---|---|---|---|---|
2020.9.11 | 462 | - | 58.0 | - | 8.0 | - |
2025.9.11 | 2,004 | 333.8% | 181.8 | 213.4% | 11.0 | 38.4% |
これまでの株価の増減(2020年⇒2025年)
- EPSは+213.4%
- PERは+38.4%
- 株価は+333.8%
EPSもPERも増加している、素晴らしい成績!
国策銘柄であることを加味すれば、まだEPS、PERともに上昇の余地があっても良いですね。
今後の注目ポイント
前澤工業の魅力を一言でいうなら、「公共事業の安定性」と「国策テーマに乗る成長性」のハイブリッドである点です。そのうえで注目するポイントは、主に次の二つ。
- 官民連携案件の獲得
- 自治体の水道事業を丸ごと請け負う「ウォーターPPP」案件を獲得できれば、安定したストック収益が飛躍的に伸び、収益構造がさらに強固になります。
- 脱炭素化事業の展開
- 脱炭素の流れは加速しており、大型案件を獲得できれば、一気に成長ドライバーとしての存在感が増します。バイオガスプラントの新規受注ニュースなど、企業のIRに注目です。

当ブログに掲載している内容は、筆者の個人的な見解や経験に基づくものです。投資に関する最終的なご判断は、ご自身で十分にご検討のうえ、自己責任で行ってください。当ブログの内容によって生じた損失等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。



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