
農薬の会社?なんだか難しそう…。将来性はあるのかな?
「農業」と聞くと、少し地味なイメージがあるかもしれません。しかし、世界的な人口増加による食糧問題や、環境問題への意識の高まりから、農業分野の技術革新は今、非常に注目されています。
OATアグリオは、まさにその中心で活躍する企業です。この記事では、OATアグリオがどのような事業を行い、どのような未来を描いているのか、IR資料を基に分かりやすく解説していきます。
この記事を読み終える頃には、きっと同社の魅力と将来性に気づくはず。一緒に考えてみましょう!
企業概要とビジネスモデル
基本情報
銘柄名 | OATアグリオ株式会社 |
証券コード | 4979 |
業種 | 化学 |
上場市場 | 東証スタンダード |
ビジネスモデル・収益構造
主な事業内容
- 防除技術(農薬):病気や害虫から作物を守る「植物のお薬」です。化学農薬だけでなく、天然物や食品添加物を由来とする、環境にやさしい「グリーンプロダクツ」に力を入れています。
- 施肥灌水(せひかんすい)技術(肥料・栽培システム):作物の成長に必要な栄養(肥料)と水を、最適なタイミングで効率的に与える技術やシステムです。これにより、農家さんの手間を省きつつ、作物の品質や収量を向上させます。
- バイオスティミュラント:植物が本来持っている免疫力や生命力を引き出し、暑さや寒さ、病気への抵抗力を高める資材です。いわば「植物のサプリメント」のようなもので、持続可能な農業に貢献する技術として世界的に注目されています。
収益モデルと収益構造
研究開発から製造、販売までを一貫して行っています。主な収益源は、これらの農薬や肥料製品の販売によるものです。
- 販売体制:国内ではJA(農協)や商社を通じて全国の農家へ、海外では70%を超える海外売上比率が示す通り、世界中の市場へ製品を供給しています。特にアジアや中南米など、今後の人口増加が見込まれる地域での展開を強化しています。
- D2Cビジネス:近年では、家庭菜園を楽しむ一般消費者向けに、自社のウェブサイトで水耕栽培キットや肥料を直接販売するビジネス(D2C)にも挑戦しています。
主な顧客層
- 国内外の農家、農業法人
- JA(全国農業協同組合連合会)
- 農薬や農業資材を扱う商社・代理店
- 家庭菜園などを楽しむ一般消費者
企業のビジネスに関するトレンド
OATアグリオは、新中期経営計画(2024-2026年)で「さらなる成長への積極投資」を掲げています。特に、以下の分野に注力することで、持続的な成長を目指しています。
- 研究開発への集中投資:3年間で約80億円という積極的な投資を行い、イノベーションを加速させます。
- グリーンプロダクツとバイオスティミュラントの拡大:環境負荷が少なく、安全性の高い製品の研究開発と世界展開を進めます。猛暑など異常気象に対応する新製品開発もその一つです。
- スマート農業への取り組み:AIによる生育診断や病害虫の予察システムなど、IT技術を活用して省力化・効率化を実現するソリューションを提供します。
- プロバイオポニックス(有機水耕栽培)の推進:食品の副産物など、未利用の有機資源を肥料として活用する新しい栽培技術の普及を目指します。
属する市場の規模や成長性など
市場規模、市場成長率
同社の中期経営計画資料によると、世界の農薬市場は年々増加しており、2022年から2027年で年平均2.0%の成長が想定されています。
また、同社が特に注力するバイオスティミュラント市場は、環境意識の高まりを背景に、これを上回る高い成長率が期待されています。
市場の特徴
世界的な人口増加(2050年には90億人超と予測)に伴う食糧増産の必要性は、同社にとって強力な追い風です。一方で、環境負荷の低減や持続可能性(サステナビリティ)が強く求められており、化学農薬への依存を減らし、環境にやさしい製品・技術へのシフトが進んでいます。
主な競合
国内外の総合化学メーカーや農薬専業メーカーが競合となります。(例:クミアイ化学工業、日本農薬、住友化学など)

なんや、ただの農薬屋さんとちゃうんやな。地球のこと考えて、植物のサプリまで作っとるんか。かしこいな~!
業績と株価の分析
業績推移と今後
過去5年実績と会社予想
決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 当期純利益(百万円) | EPS(円) |
2020年12月期 | 20,288 | 1,512 | 837 | 77.38 |
2021年12月期 | 22,678 | 2,001 | 1,456 | 135.36 |
2022年12月期 | 26,960 | 3,346 | 2,261 | 214.12 |
2023年12月期 | 28,988 | 3,766 | 2,488 | 236.45 |
2024年12月期 | 29,773 | 3,150 | 2,077 | 201.86 |
2025年12月期(予想) | 30,820 | 3,320 | 2,090 | 205.18 |
過去5年の成長率 | 8.7% | 17.0% | 20.1% | 21.5% |
売上高は右肩上がり!一方、利益は2023年をピークに下がっています。これは研究開発費の増加によるものであり、中期経営計画で「成長のための先行投資」と位置づけられています。
直近決算のポイント(2025年12月期 第2四半期)
- 増収増益を達成: 売上高は前年同期比9.6%増の171億81百万円、営業利益は前年同期比36.7%増の27億36百万円と好調な滑り出しでした。
- 肥料・バイオスティミュラント分野:海外でバイオスティミュラント「アトニック」のアジア向け販売が好調だったほか、国内外で肥料製品の販売が伸長しました。
- 新製品:2025年5月に発売した、猛暑対策のバイオスティミュラント「炎天マスター」が大変好評を得ており、今後の貢献が期待されます。
PER推移と今後
PERの推移
OATアグリオのPERは平均9倍くらい。7倍~11倍くらいのレンジですね。
※2019年12月~2020年2月ごろの100倍超を外して計算しています。
2025年8月12日現在だと11.9倍なので、過去からみると高い水準に位置しています。
中期経営計画での研究開発費増加が、これからの成長期待につながっているのかな?
業界平均との比較
プライム市場の化学の平均PERは17倍くらい。16倍~24倍くらいのレンジ。
化学も色々な企業あるので参考程度ではありますが、化学は業種全体で低めの水準、OATアグリオは高めの水準に位置しており、逆行してますね。
今後のPER水準の予想
同社が注力する「グリーンプロダクツ」「バイオスティミュラント」「スマート農業」といった事業は、SDGsや食糧安全保障といった社会貢献性の高いテーマと直結しています。
中期経営計画での研究開発費の増加もあり、今後、これらの分野での成長が市場に評価されれば、成長期待からPERが切り上がり、市場平均くらいの水準(例:15倍~20倍)で評価される可能性も十分に考えられます。
「株価=EPS×PER」
株価(円)
EPS(円)
PER
2021.8.13
800
(増減率)
126.1
(増減率)
6.3
(増減率)
2025.8.8
2,465
208.1%
207.2
64.3%
11.9
87.5%
今後予想
3,860
56.6%
249.0
20.0%
15.5
30.0%
これまでの株価の増減(2021年⇒2025年)
- EPSは+64.3%
- PERは+87.5%
- 株価は+208.1%
今後1~2年の株価予想
- EPSは+20.0%(研究開発の成果に期待)
- PERは+30.0%(業種平均、競合他社の水準)
- 株価予想は+56.6%
今後の注目ポイント
- EPS: 中期経営計画で掲げた研究開発の成果がどれだけ現れるか。注力している「グリーンプロダクツ」や「バイオスティミュラント」の新製品が計画通りに収益へ貢献していくかが鍵となります。
- PER: 世界的な人口増加、バイオスティミュラントといったテーマ性が市場でさらに注目され、PERがどの水準まで評価されるか。サステナビリティ関連の投資マネーが流入してくるかもポイントです。。

当ブログに掲載している内容は、筆者の個人的な見解や経験に基づくものです。投資に関する最終的なご判断は、ご自身で十分にご検討のうえ、自己責任で行ってください。当ブログの内容によって生じた損失等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。



にほんブログ村