PERって何?押さえておきたい【3つの視点】

投資初心者や、忙しくてあまり時間の取れない投資家にありがちなのが、

「PERが高い=割高で危ない?」

「PERが低い=割安で買い?」

と、数字を見た瞬間に結論を出してしまうことです。

この記事では、株価の基本公式「株価=EPS×PER」を軸に、PERの使い方を分かりやすく整理し、

ニュースや雰囲気に振り回されずに銘柄チェックできる最低限の知識を身につけられるよう、解説します。

PERは、次の式で表します。

PER=株価÷EPS(1株当たり利益)

この式は、「今の稼ぐ力が続くなら、何年で投資元本を回収できそうか」を意味しています。

例えばPERが10倍となるのは、次のようなときです。

PER(10倍)=株価(100円)÷EPS(10円)

この場合、今の稼ぐ力(EPS10円)が10年(PER10倍)続けば、投資元本100円を回収できます。

言いかえれば、今の稼ぐ力で投資元本を回収するのに10年かかっても良い、という期待を示しています。

ここで知っておきたいのが、PERには2種類あることです。

1つは、決算額にもとづく「実績PER(実績EPSで計算)」、もう1つは、会社予想や市場予想にもとづく「予想PER(来期予想EPSで計算)」です。

PERの本質が「期待」である以上、これからの利益(予想EPS)を基準に見るほうが投資判断に使いやすいです。

先ほどの式を少し変えると、

株価=EPS×PER

となります。これは、「株価は、稼ぐ力と期待値の掛け算」であることを意味しています。

つまり、株価が増減するとは、稼ぐ力(EPS)期待値(PER)それぞれの増減の結果ということです。

先ほどの例を使います。決算でEPSが10%増加し、これからも伸びそうだとして期待値も10%増加すれば、

株価=110×11

=121

となり、株価は21%増加することなります。

決算時期でないとEPSは動かないので、日常的な株価の動きは「期待値であるPERの増減」であると分かりますね。

PERの高い・低いの判断は、①比較、②分解、③裏取りの視点から確認します。

①比較

同業他社と比べて高いのか低いのか、次にその銘柄の過去レンジと比べて今が高いのか低いのか。これで「今のPERが異常なのか普通なのか」が見えてきます。

②分解

株価の推移を「株価=EPS×PER」の視点から見て、「EPSがどう動いたのか」、「PERがどう動いたのか」を切り分けます。

株価の増減がEPS・PERどちらが主体で動いたのか切り分けることで、「EPSが増加しているのにPERが変わらない(または下げている)」といったバリューな株の発掘に役立ちます。

③裏取り

PERが高いなら「今後も期待値が高いままとなるストーリーはあるか」、PERが低いなら「期待値が低い理由は一時的か、構造的に続きそうか、今後に改善される余地はあるか」を確認します。

PERは便利な指標ですが、本質が「期待」なので、前提が崩れると簡単に見え方がズレます。

まず大前提として、PERには業種差があります。

成長産業は将来の伸びへの期待が乗りやすく、PERが高めになりがちです。反対に、成熟産業は、PERが低めでも珍しくありません。したがって、異業種同士で「PERが低いから割安」と判断はできません

基本は、同業比較と、その銘柄の過去比較です。そのため、先の「①比較」が大事です。

さらに、EPSは一時的な要因でブレることがあります。

たとえば不動産売却益などの特別利益が出ると、EPSが一時的に大きくなり、PERが急に低く見えることがあります。しかしそれは「稼ぐ力が上がった」わけではなく、単発の上振れかもしれません。

逆に、特別損失でEPSが落ち、PERが高く見えるケースもあります。PERを見るときは、EPSが一時要因で歪んでいないかを確認しておくと安全です。

加えて、希薄化にも注意が必要です。

増資やストックオプションなどで発行株式数が増えると、会社全体の利益が同じでも1株当たりの利益(EPS)は薄まりやすくなります。過去に増資などを頻繁に行っていないかどうか、決算短信や適時開示で確認もしておくと安全です。

最後に重要なのが、PERは市場心理で伸び縮みする点です。

相場が強気で「多少高くても買う」ムードのときは、全体的にPERが上がりやすくなります。逆に、不安が強い局面や金利上昇局面では、将来の利益への評価が冷え、PERが下がりやすい傾向があります。

企業の中身が変わっていなくても、株価は期待で日々増減するため、安易に振り回されないようにどっしり構える姿勢も大事です。

PERは一言でいうと「期待」です。

PER=株価÷EPSは、「今の稼ぐ力が続くなら、投資元本の回収に何年かかりそうか」という目安にもなります。

さらに株価は、株価=EPS×PERと分解できるので、値動きの原因が「EPS(実力)」なのか「PER(期待や心理)」なのかを切り分けるだけでも、判断が整理されます。

ただしPERは、業種差EPSの一時的なブレ希薄化市場 心理の影響を受けやすい指標です。

だからこそ、PERだけで売買を決めないことが大切です。

比較(同業・過去)→分解(EPSとPER)→裏取り(成長性や一時要因の確認)の順でチェックし、納得できる根拠が揃ってから判断しましょう。

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